• 天皇賞 春 2003年

天皇賞 春・秋

第127回 天皇賞(春) 2003年

ヒシミラクルは確かに前年2002年の菊花賞を制していた。しかしあの時、多くの人の印象に残っていたのはヒシミラクルが勝ったということよりも、当時1番人気だった武豊が乗る皐月賞馬ノーリーズンがスタート直後に落馬するアクシデントではなかったか。実際、その後のヒシミラクルの戦績は冴えなかった。有馬記念11着。阪神大賞典12着。大阪杯7着。「菊花賞の勝利は人気馬の落馬に恵まれてのもの。フロックではないのか。」というのが大方のファンの見方だった。この天皇賞(春)におけるヒシミラクルの評価は単勝7番人気16.1倍。G1馬のものとは思えない評価だった。

だからこそ、最後の直線で馬群の外を追い込んできたヒシミラクルの姿を見た時、誰もが「菊花賞馬を軽視してはいけなかった」と驚きと反省の声を上げることになった。道中は後方待機の形でレースを進め、3コーナーの坂の下りを利して徐々に進出し、直線で外から先頭に。そのレース運び、そして末脚はG1馬そのものの堂々としたものだった。横綱相撲と言っていいだろう。この勝利で菊花賞制覇はフロックは明らかだ、という評価を受けなければならないように思われた。しかしそれでもこの馬の評価は何故か上がらない。

ヒシミラクルは次走の宝塚記念でも優勝。この時も単勝オッズは16.3倍で6番人気という低評価だった。この馬はどんなに勝っても人気にならない「穴馬」タイプということか?それとも「ノーリーズンで武豊が落馬した菊花賞を勝ったラッキーな馬」というイメージが離れないからなのか?あるいは競馬ファンというのは、それほどまでに「過去のことを忘れてしまう」人種なのか?本当はG1を3つ勝った強い馬なのだが、「穴馬が勝利した」という印象ばかりが残る不思議な馬である。その意味ではヒシミラクルは「史上最強の穴馬」と言える存在なのかもしれない。そんな馬がいた方がG1レースがより楽しくなるのは確かなのだが。

このページの先頭へ