• 天皇賞 春 1989年

天皇賞 春・秋

第99回 天皇賞(春) 1989年

1989年の天皇賞(春)は混戦模様のレースとなった。馬連がなく、単枠指定制度があった時代だが、その単枠指定となった馬はいなかった。単勝1番人気は前走の阪神大賞典で2位入線するも失格となったスルーオダイナ。前年1988年のステイヤーズS、年が明けて1999年のダイヤモンドSと長距離重賞を連勝した点が評価されてのものだが、オッズは3.0倍。絶対的な信頼を得ていたとは言い難い。前年1988年の2着馬ランニングフリーが2番人気で3.1倍、前走の日経賞でランニングフリーの2着に入ったコクサイトリプルが3番人気で7.8倍。ファンも皆、悩んでいたに違いない。

しかし最後の直線で抜けだしてきたのはこの3頭ではなかった。4番人気9.3倍のイナリワンだったのである。馬場の内側を突いて伸びてきたイナリワンは2着のミスターシクレノンに5馬身差をつける強い内容で勝利。意外なほどの強い内容の競馬に驚いたファンも少なくなかった。

このイナリワンという馬は地方競馬のデビューだった。1986年に大井競馬場でデビューして8連勝するなど、南関東公営競馬で注目を集めた馬だった。地方競馬で14戦9勝の戦績を残して、1989年に中央競馬に移籍。この天皇賞(春)は移籍して3戦目の競馬だった。移籍後の2戦は4着、5着と今ひとつの結果だったが、地方競馬での活躍は伊達ではなかったということなのだろう。中央競馬での初勝利がこのG1、天皇賞(春)だった。いきなりのG1勝ちで、中央競馬のファンにその実力を見せ付ける形となった。そして鞍上はデビュー3年目の若手騎手だった武豊。前年1988年の菊花賞を勝って驚かせた若手のホープが、この天皇賞(春)でも再びファンに衝撃を与えた。混戦の長距離G1を制したことで、その実力は高く評価されることとなった。

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