• 天皇賞 春 1997年

天皇賞 春・秋

第115回 天皇賞(春) 1997年

競走馬にはそれぞれ、逃げ、先行、差し、追い込みなど、得意とする戦法がある。騎手がレースの流れに応じてその戦法を変えることはあるが、多くの場合はレースを積み重ねるにつれて固定化される。

しかしどんな戦法にも対応できる馬がいた。1997年の天皇賞(春)を制したマヤノトップガンである。この馬が初めて制したG1レースは2005年の菊花賞。この時は逃げ馬をマークできる4番手からレースを進め、4コーナーの手前で先頭に立って押し切る競馬。ところが次走の有馬記念ではスタート直後からハナに立ち、後続に一度も前を譲ることなく逃げ切り勝ち。他馬の騎手たちも、馬券を買うファンたちも、全く予測出来なかった逃げの手にただ脱帽するしかなかった。

その後も前目のポジションから直線で抜け出しを図る競馬が続く。マヤノトップガンという馬はいつも前の方でレースを運ぶ馬なのだ、という固定観念を抱くようになる。ところがマヤノトップガンはこの2007年の天皇賞(春)で再び他馬の騎手たちやファンたちの固定観念を打ち破るレース運びを見せる。

マヤノトップガンは道中で中団よりも後ろのポジションからレースを進めたのだ。こんなに後方で待機した競馬がこれまであっただろうか?レースは武豊騎乗のマーベラスサンデーが先に抜け出すところに、前年1996年の覇者サクラローレルが並びかける。この2頭の激しい叩き合いにファンの目が移りかけた時、外から猛然と追い込む馬の姿に皆、驚きの声を上げる。追い込んできたのはマヤノトップガンだったのだ。かつては有馬記念で逃げ切り勝ちを決めたこともあるこの馬が、後方から外を回って追い込む競馬が出来るとは。強烈な末脚と意外な光景に驚く間もなく、マヤノトップガンがゴール板を先頭で駆け抜ける。2着サクラローレルにつけた差は1馬身1/4。完璧な勝利だった。

逃げも追い込みも出来るマヤノトップガン。その戦法の幅広さ、変幻自在ぶりにいつも驚かされ、楽しませてくれた馬だった。G1を数多く勝った馬は他にもいるが、その「勝ち方」で楽しませてくれた馬はそう多くはないだろう。

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