• 天皇賞 秋 1995

天皇賞 春・秋

第112回 天皇賞(秋) 1995年

1995年の天皇賞(秋)で、単勝1番人気に支持されたのはナリタブライアン。前年1994年の皐月賞、ダービー、菊花賞を制した3冠馬である。しかし単勝オッズ2.4倍と2倍を切ることができなかった点からもわかる通り、このレースにおけるナリタブライアンには不安があった。この年1995年の阪神大賞典を快勝した後、股関節炎を発症して休養。このレースは休養明けの一戦だった。更に主戦騎手の南井克巳が落馬負傷で休養中。手綱は急遽、的場均に託されることになった。この為、この馬の取捨が馬券戦略上のポイントとなることに。3冠を獲得した時とは違い、絶対的な存在とは言えなかった。

2番人気はサクラチトセオー。春の安田記念では、外国馬ハートレイクにハナ差2着という悔しい敗戦を経験している。G1タイトル獲得に燃える1頭だった。そして3番人気はアイリッシュダンス。この年の新潟大賞典、新潟記念を制して、オールカマーでは2着という上がり馬だった。武豊騎乗でも注目を集めた。

レースは1000メートル通過59秒6という、それほど速いとは言えない流れ。直線に入り、先に馬群から抜けだしてきたのは2番手でレースを進めていたジェニュインだった。そして馬場の中央からナリタブライアンが上がってくる。緩やかな坂を駆け上がり、いつものように抜けだしてくるのか?しかし、思うように伸びてこない。ファンの悲鳴が聞こえてくる。その時だった。更に外から白い帽子、ピンクの勝負服の馬が猛然と追い込みを見せた。サクラチトセオーだった。道中は後方2番手でレースを進めていたこの馬、まさに大外直線一気の競馬で馬群をまとめて交わす形でゴールを目指す。ジェニュインと並ぶ形でゴール板を通過。写真判定となったが、結果はサクラチトセオーに軍配が上がった。悲願のG1初制覇の瞬間だった。

サクラチトセオーの鞍上は小島太。翌年1996年の2月に調教師転身のため、引退が事実上決まっていた小島太が、府中のファンに最後に見せた渾身の追い込みとなった。「サクラの勝負服が最も似合う男」と呼ばれた小島太らしい、派手な勝ちっぷりでの勝利だった。

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